東洋医学とは?西洋医学との違いを知ることは、自分や大切な人を守る選択肢を増やすこと

 
私たちが不調を感じたり、ケガや病気をして訪れるのはほとんどが西洋医学をベースとした病院やクリニックでしょう。
でも例えばヨーロッパやオセアニアではナチュロパシーが、インドではアーユルヴェーダ、中国では漢方や気功など世界にはさまざまな自然療法(東洋医学含む)があります。
でも日本ではまだまだ「医学といえば西洋医学」という認識が強く、そのほかの選択肢さえ知られていません。
今回は自分や身近な人の健康を守るために知っておきたい医学のこと、西洋医学と東洋医学の違いについてご紹介していきます。
 

「東洋医学」とその歴史について


 
東洋医学と聞いて何を思い浮かべますか。漢方や鍼灸など、西洋医学を行う病院以外で施されるアジア発祥の治療法というイメージが強いのではないかと思います。
実は東洋医学とは、日本を含めたアジア発祥の伝統医学をまとめて指す言葉なのです。
 

中国伝統医学がその始まり

現代の東洋医学は、5~6世紀の奈良時代に日本へ導入された中国伝統医学がその始まりだと考えられています。
 

明治時代に正式な医学ではなくなった?

それから日本では医学といえば東洋医学で、これは「西洋医学を学んだ者のみを医師とする」という内容の法律が施行される明治時代まで続きました。
このことは残念ながら、今までの東洋医学を正式な医学として認めないということを意味し、西洋医学が日本の医学の中心に置き換わってしまうのです。
 

東洋医学ではバランスを見る

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東洋医学が西洋医学と違う大きな特徴は、病気や症状があるときにその部分だけを診るのではなく「からだ全体」を診るということ。
東洋医学では、身体のある部分の不調は必ずしもその部分だけが原因ではなく、体内のバランスが崩れたことにより引き起こされたと考えるのです。
そのため東洋医学では全体のバランスを整えることで、自然治癒力を高めて身体を健康な状態に戻していく治療を行います。
 

「気」「血」「水」の調和がカギ

東洋医学では身体を構成するのは、「気」「血」「水」の三大要素だと考えられています。
つまりこれらの要素の調和している状態が、東洋医学でいう健康なのです。
 

(1)気

気とは身体と精神の活動に必要なエネルギーのこと。
気は目に見えないため西洋医学ではなかなか重視されませんが、東洋医学では生命活動の源のことを指し、身体を構成する三大要素のひとつです。
 

(2)血

文字の通り血液のこと。
身体を巡りながら、栄養や老廃物などを運びます。不足したり滞ったりすると、貧血や眩暈、のぼせなどの症状が現れます。女性は特に血液による不調に陥りがちですよね。
 

(3)水

血液以外の身体に必要な水分のこと。血と同様に、身体に栄養を与えたり、不要なものを排出するなどして活動を支えています。
また人体の約60%は水分ともいわれる通り、私たちの身体にとって重要な役割を担います。
 

心と身体はひとつという「心身一如」の考え方

東洋医学の大きな特徴として、「心身一如(しんしんいちにょ)」があります。
西洋医学では心と体は別ものという考え方がベースになっていますが、対して東洋医学では心と体はお互い影響し合う、ひとつのものであるという考え方が根底にあります。
 

「人に寄り添った優しい医療」

そして東洋医学は「病を診、さらに人を診る」医療であり、症状だけでなく全体をみる「人に寄り添った優しい医療」だと言えるのではないでしょうか。
 

西洋医学とは治療へのアプローチが根本的に違う

東洋医学と西洋医学の違い
 
先述した通り、東洋医学と西洋医学では病気に対する考え方が異なるため、必然的に治療へのアプローチも根本的に違ってくるのです。
 

東洋医学は根本的改善を目指す治療

東洋医学では患者本人の自覚症状や症候を重視、病態に着眼し治療方針を決めていきます。治療法としては漢方や鍼灸などがあります。
また「冷え」や「お血」なども症候のひとつと捉えるのは、東洋医学の特徴のひとつ。
原因を探り病態を取り除き、症状の改善に至ります。
症状を単に排除するだけでなく、根本的に改善することを目的とします。
 

西洋医学は症状に対処していく治療

まず症状や病気の原因を解明し、必要に応じて検査を重ねて「病名をつける」ところから治療がスタートします。
その病名によってガイダンスに沿った、「エビデンスに基づいた治療」を行います。
基本的に症状に「対処」していく治療です。
 

東洋と西洋、それぞれに異なる得意分野と弱点が

考え方や治療法があまりに違うため、西洋医学を学んだ人は東洋医学に、東洋医学を学んだ人は西洋医学に対して苦手意識を持つ人も多いかもしれません。
でもどちらが良い悪いということは決してなく、それぞれに異なる得意分野と弱点があることを理解しておくことも大切です。

【東洋医学の得意分野】

  • 病名がはっきりしない症状
  • 自律神経系,免疫機構,内分泌系が関係する症状
  • 検査結果は問題ないが起こる不調

世界一やさしい東洋医学」より引用

【西洋医学の得意分野】

  • 手術が有効な症状
  • 緊急の処置が必要な症状

世界一やさしい東洋医学」より引用

患者自身がこれらの情報を知っておくことで、本人がなにも知らない間に治療方針が決められているということを避けられるメリットも。
例えば病状やケガの状態によっては、西洋医学で緊急処置をした後で東洋医学で全体のバランスを整えるなど、
お互いの得意分野を掛け合わせた治療を受けることもできます。
 

東洋医学の世界をもっと詳しく

東洋医学の本
 

『図解 世界一やさしい東洋医学』頼建守著


東洋医学の基本が図解を使ってわかりやすく解説された、入門編の一冊です。
西洋医学との違いや診断や治療の仕方、漢方薬や鍼灸の基本や、養生についてなど東洋医学に興味がある人や、これから日常に取り入れたい人にピッタリ。
 

『血流がすべて解決する』堀江昭佳著


予約の取れない人気漢方薬剤師著。「血流」を改善して体の不調や悩みを解決する方法について書かれています。
特に貧血に陥りやすい女性にとってはためになる情報が満載です。
 

まとめ

東洋医学のまとめ
 
今回は東洋医学について、西洋医学と比べながらご紹介しました。
いつ自分や身近な人が病院のお世話になるかわかりませんよね。
そんなときに、患者側の私たちもすべてを任せきりにするのではなく、少しでも治療を受ける側として知識を持っていると、より納得した治療を受けられるのではないでしょうか。
そこまで難しく考えなくても、いざというときに「そういえば東洋医学もあったな」と思い出せるだけで十分
大切な体のこと、いくつかの選択肢を持っているだけで心強いはずです。

文:mia  構成:さくみ 編集:さくみ

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