「エシカルファッション」とはどんなファッションのことでしょうか。
環境問題や社会問題に配慮した、人や地球に寄り添うファッションのこと。
全国の男女1000名以上を対象にしたある環境意識調査では、消費者の70%が「エシカル」「サステイナブル」をファッションに取り入れたいと考えていることがわかったそうです。
今回はそんなエシカルファッションについてと、そのおすすめブランドをご紹介します。
エシカルファッションとは?
あなたは今着ている服が、「どこでどのように誰の手によって作られたか」を知っていますか。
またそういうことを考えて服を買うことがありますか。
食材についてのそういう意識は最近高くなりつつありますが、ファッションについてそこまで注目している人はまだ少ないかもしれません。
生産にかかわるすべての人に配慮したファッション
エシカルとは「倫理上」「道徳上」という意味で、エシカルファッションとは地球問題だけでなく生産にかかわるすべての人に配慮したファッションのこと。
つまり再生繊維やオーガニック素材など環境に優しい材料を使うことはもちろん、製造から販売までの過程における労働者の環境にまで配慮されているのです。
ファッション業界を取り巻く状況
華やかなファッション業界の「裏側」には、実はさまざまな問題も…。
大量生産、大量消費であったこの業界も、こういった問題の深刻化にともないより「エシカル」で「サステイナブル」な視点が重要視されるようになっているのです。
(1)実は世界で2番目の環境汚染産業
あまり知られていないかもしれませんが、実はファッション業界はCO2の排出量が全業界の10%を占める、「世界で2番目の環境汚染産業(国連貿易開発会議調べ)」。
要因は水の汚染・使用量
大きな要因は、水の汚染・使用量が二番目に大きい繊維業界。
例えば綿のTシャツを1枚作る平均水量は、2,500リットルだとも言われています。 これらの問題は各企業がさまざまな取り組みを通して、意識的にサステイナブル(持続可能)な産業、あり方を目指しているようです。
(2)児童労働問題
ファッション業界において労働環境の問題も深刻です。
特に児童労働が問題になっていて、家計が苦しくそれを助けるために安賃金や劣悪な労働環境であっても働く児童が多いとか。
しかもスキルがなくてもできる仕事が豊富なのも、この業界に児童労働者が多い理由のひとつと言えそうです。
(3)「ラナ・プラザの悲劇」
ファッション業界の影で2013年に起きた悲劇、「ラナ・プラザ」の崩壊事故を知っていますか。
1,134人の死者を出した大事故で、被害者の多くが過酷な環境で働く縫製工場の女性労働者。
ファッション業界の労働問題が浮き彫りに
このことがきっかけファッション業界の労働問題が浮き彫りになりました。
そして忘れてはならないのがこれらのファストファッションの拡大に、無意識であっても加担していたのは誰でもない私たち消費者なのです。
「搾取される労働者」をこれ以上作り出さないため、この悲劇を繰り返さないためにも、エシカルファッションを選択肢にぜひ入れておきたいですね。
エシカルファッションを買う前に
「エシカルファッション」という言葉に踊らされないで
ある意識調査でエシカルファッションを取り入れたい理由について、「トレンドだから」が21%で3位でした(ちなみに1位は「社会貢献に興味があるから」2位は「自己主張・表現のため」)。
流行の象徴として興味を示す人が少なくない
つまりエシカルファッションを、流行の象徴として興味を示す人が少なくないのです。
ここで懸念されているのが今後、宣伝やマーケティングのためだけに「エシカルファッション」と謳う団体や企業が出てくること。
消費者として本当に人や地球のための選択と考えるなら、それらの耳障りのいい言葉や表現に踊らされないようにしたいものですね。
生産過程や生産者についてリサーチしよう
もしあなたが、実際にエシカルファッションに興味を持ったとき、その宣伝文句や広告だけで判断して購入する前に、ぜひ製造過程や生産者についてリサーチすることをおすすめします。
本当の意味でエシカルという言葉を掲げるブランドや生産者は、環境問題や労働問題など社会的な問題について真剣に取り組んでいるところが多いでしょう。
消費者としての社会貢献に繋がるアクション
もの創りのストーリーや生産者の想いなどに共感できるブランドから購入できれば、消費者としても社会貢献のアクションに繋がると思います。
エシカルファッションブランドおすすめ3選
(1)『peapletree(ピープルツリー)』
日本のフェアトレード・エシカルファッションにおけるパイオニア、イギリス出身の「サフィア・ミニー」が立ち上げたブランド。
環境に配慮し希望に溢れた作り手たちの豊富なファッションデザインが魅力です。
(2)『sea of rose』
2016年に惜しまれつつも幕を閉じた『CANDI by NATSU』のクリエイティブディレクターであったnatsuの新ブランド。
大々的に「エシカルファッションブランド」とは謳っていないものも、natsuの想いや商品の素材から間違いなく「エシカル」を取り入れていることが分かります。
最近は受注生産がメインのようなので、新作のチェックはInstagramをフォローして。
(3)『salasusu(サラスースー)』
「作り手と使い手が健康的な関係性で結ばれたものづくり」を信条にした、カンボジア発のライフスタイルブランド。
農村にある小さな工房で近隣の女性たちの手で仕立てられています。商品ひとつひとつに作り手の名前が記されているとのこと、温かみがありますね。
シンプルかつ洗練されたデザインで、日常使いはもちろん特別な旅行に連れて行きたくなるラインナップです。
編集長の「さくみ」もsalasusuのグッズは愛用させていただいております!(写真は2018年にヒカリエで開催されたポップアップストアで撮影したもの)
この時は、スカーフとトートバッグを購入させてもらいました。特にスカーフは使い心地が最高で夏場は毎日のように使っています。
未来のエシカルファッションブランド?!『ZARA』
ファストファッションのイメージが強いですが、原材料をローカルで調達するなどのサステイナビリティーに関する取り組みを長年行っていたブランドです。
そんな『ZARA』の親会社が2019年に驚くべき宣言をしました。
なんと、2025年までにブランドで使う素材を全てサステイナブルな素材に置き換えると発表したのです。
『ZARA』のように、私たちの身近にあるブランドが「エシカルファッションブランド」として確立する日も、そう遠くないのかもしれません。
まとめ
エシカルファッションについてご紹介しましたが、いかがでしたか。
はじめてその言葉を目にした人もいるかもしれません。
今後ファッションと向き合うとき、どういったコンセプトで作られた服なのか、ブランドの想いとは、などと思いを馳せてみませんか。
難しいこと抜きにしても、その丁寧な選択が誰かや地球のためになるなんて、心が少し温かくなりますね。
文:mia 構成:さくみ 編集:さくみ
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